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なにげなく

明日は私の第二の誕生日。

本当の誕生日は三月。
でも、一番大事なのは四月の二十三日、つまり明日。

どきどきする。

本当はあの日、私はいなくなっていた。
本当は今日、ここに私はいなかった。

あの日から出会った人達は、出会わなかった筈の人達。


朝の渋滞。
青信号の横断歩道。
三車線の中央側に止まっていた大型トラック。
その向こうに現れた乗用車。

転がった 私。

何も覚えていない。
その日一日の事は、朝出かける時、母親とのちょっとした会話しか覚えていない。
何度思い返しても、その時の記憶は出てこない。
だけど、紛れもなく、あの日あの道路に転がったのは、私。

大したことない、ちょっとした接触事故だったのに、倒れた時の打ち所が悪過ぎた。
病院に搬送され、急いで呼ばれた母親に告げられたのは
「手術をしなければ後五時間の命です」
という事実。

してはいけない最大級の親不孝事。

幸い、私を執刀した医師は、看護士&看護助士さん達が口を揃えて「名医」と評する方だった。
事故翌日にはおぼろげながら意識を回復していたし、なんと二日目には大部屋に移っていた。
その日の内にトイレへ自力で行けた。
後遺症は多少あったが、手足の麻痺はなかった。
「事故に遭ったのは不幸だったが、その後はすべて幸運だったね」
誰だったかな、そう言ってくれたのは。まさにその通り。

人間、死ぬ時はあっけなく死ぬ。
生きる時は、驚くほどしぶとい。

頭蓋骨を折り、左脳の1/4を失っても、この通り五体満足に生きている。

生と死は、とても近いところにいる。
それが判った時、自分が愛しくなった。
すると周りのものも愛しくなった。

命は、多分、愛しいものなんだ。
by blue_wind_xx | 2004-04-22 01:05 | 日常